※こちらの記事は2020年3月の販売会後に撮影した動画を元に編集したものです。
ちこ:皆さんこんにちは、ちこです。
今日は『御食事ゆにわ』にリップル洋品店の岩野開人さんが来てくださっています。
販売会ということで、2日間かけて衣類を販売していました。
私はいつも岩野さんのことを「ハルくん」ってお呼びしています。せっかくなので、これからハルさんと喋ろうと思います。
左)リップル洋品店 岩野開人(いわのはるひと)さん
右)御食事ゆにわ店長 ちこ
岩野:よろしくお願いします。はじめまして。
ちこ:普段は奥さんの久美子さんがデザインをして、ハルさんが染めをしてお洋服を作られているんですけど、始めてからどれくらい経ちますか?
岩野:10年経ちました。
ちこ:始めた“きっかけ”ってあるんですか?
岩野:以前は普通にサラリーマンをしていたんですけど、子どもが生まれたり、仕事でどんどん役職を与えられたりして忙しくなっていき、なかなかプライベートと仕事の両立が難しくなってきたんですね。
お金にしても、言ってみればサラリーマンって決まったお金で生活をするわけで、これからどういうふうにしていくか考え始めたり。
子どもが小さいから、なかなか外に遊びに行くっていうのも難しかったりして、じゃあ、家でできることはないのかな?と思うようになりました。
お金をかけるより、時間をかける感じがよくて、それほど大きくはないですが畑を借りて野菜を育ててみたり。あ、地元が群馬県桐生市なので、土地は結構あるんです。
あとは、お箸を自分で削ってみたりとか、子どものおもちゃを作ってみたり。
僕はうどんが好きなので、うどんやパスタを自分で打ってみたりもしました。
そんななか、洋服も自分たちで手作りしたいなって思うようになって、作り始めたのがきっかけです。
ちこ:私も桐生市に一度遊びに行かせてもらいましたが、全国にリップルさんのファンがいて、今やパリコレに出るぐらい世界中に認めてくださる方がいますよね。
そんなふうに活動が広がるまでには、何か転機があったのですか?
岩野:僕らは自分たちで洋服を作るので、どうしてもいいものを追求したくなります。ただ、“いいもの”って人それぞれじゃないですか。
それなのに、僕らはやっぱり職人なので、どんどんどんどん入り込んでいっちゃうんです。
ただ、入り込んで作ったものが果たして“いいもの”なのかっていうと、お客さんが欲しいものとはぜんぜん違ったりするんですよね。
作り手って、どうしてもずっと家にいる形になっちゃうので。
もっと外に出ていって、色んな人の働き方だったり、いろんな人の活動だったり、そういったものを、僕ら自身も学んだ方がいいんじゃないのかな?って思うようになったんです。
ちこ:その時から、ご縁もどんどんどんどん広がっていった、みたいな感じですか?
岩野:そうですね。
ちこ:なるほど〜。私自身、リップルさんとの出会いは3年前ぐらい。私の知人が、リップルさんには行ったことないけれどインスタを見ていて、「ちこさんに似合いそう」と思ってくれていたみたいで。
その後、会った時に、すごくおすすめされたんですよね。
「すごくいいと思うよ、行ったことはないけど」って。
行ったことないんかい!って感じですけど、そのご縁がきっかけで「遊びに行かせてください」ってご連絡したんですよね。
お店に行かせていただいて、お家にも招いていただいて。
息子さんがコーヒーの焙煎士でもあるので、コーヒーを淹れてもらったり。
群馬県桐生市にあるリップル洋品店さんのアトリエ
ちこ:そこから話がワーッと盛り上がり、「私が住んでいる大阪の楠葉っていう街でも販売会できますか?」という話になって。
「いいよ!」という流れになって。
楠葉での販売会は、今回で7回目になりますね。
どうですか?こちらに来る感じは。もうなんだか、“ホーム感”がありますよね。笑
岩野:そうですね。正直言うと、僕はこちらに引っ越して来たいくらいです。
食を通してちこさんたちが伝えていることは、僕らが洋服を通して伝えていることと、すごく重なる部分もあったりして。
ちこ:通じ合っていますよね!
岩野:そうそう。でも初めてお会いした時、僕ら、ゆにわさんの活動って正直存じ上げていなかったんですよね。
ただ、ちこさんが来るまでの間に本を読ませてもらい、「あ、こういう活動をしている人がいるんだ」と。
しかも個人じゃなくて皆さんでやっている、というのがなかなか面白いな、と思いました。
ちこ:「変わってるなあ」って?笑
岩野:いえいえ。面白いと思ったのは、このような活動を大人数でどうやってやっているのかな?とすごく興味があって。
それで、「やっぱり行ってみたい」と思いました。それが、楠葉に行ったきっかけでしたね。
ちこ:実際に来てもらってやっぱり、リップルさんのお洋服をうちのスタッフをはじめ、この町の人も、遠方からでも求めに来てくださる方がいて。
ハルさんにも、ゆにわのラーメンだったり食堂だったりカフェだったり、色んなことを知ってもらっているし、食べてくれているし、私もリップルさんのお洋服を着るし。
それって言葉以上のものというか、どういう思いでやっているのか、皆に聞かなくても何か分かる。そんなところが、確かにお互いあるんじゃないでしょうか。
岩野:はい、いつもそれほどたくさんは喋ってないですよね。皆さん忙しいですしね。それでも何だか通じるものがある。僕が勝手に、思っているんですけれども。
ちこ:私もそう思ってるよ!
岩野:なんか本当にそういうところがありますよね。
ちこ:うんうん、大切にしているものがある人が作るお洋服だな、というのを感じます。
しかもそれって止まるものじゃないから。
ずっと進化し続けるものだと思うので、私もその洋服を着ながら進化したいなって思うし。
もちろん、私自身もそういうものを何か形にしたい、みたいな想いがすごくあって、いつも楽しいです。
岩野:本当に最近、桐生で仕事して、色んなところに出ていって、定期的にゆにわさんで展示会をやらせてもらって、お食事もいただいて。
日頃忙しいっていう言い訳もあるんですけど、やっぱりここへ来ると気づかされますね、やっぱり。
なんだか自分が調律されるというか、整うというか、そういう感じです。
それで、「また次回まで頑張ろう」っていう感じになるんですけど。笑
次回になってみるとまた忘れているんですよね。
ちこ:感覚って繊細だから。
岩野:そう。ゆにわさんも、次に来るとまた進化してる。
ちこ:生きているからね。
岩野:そこでまた気付かされるっていう・・・。本当に、すごい良い流れだなって僕は思います。
ちこ:そういう関係ってすごく楽しいですよね!お互いにパワーを交流できる関係が。
働くことって、私はすごく楽しいことだなって思っていて。
働いているのか遊んでるのか分からない、じゃないですけれども、でも働いている。
心の底から「この人と繋がっていたいな」とか「この瞬間が凄く大事だな」みたいな気持ちだったり、本当にちっちゃなことで喜べる幸せ、みたいなものが詰まっている働き方をしたいって思っているんです。
販売会も自然と7回続いているようで、でもやっぱり、楽しいから続いているんだと思っています。
そうじゃないと「なんか忙しくてね」とか言って、流れてしまったりするんじゃないかなあ
と思っていて。
楽しんでやることが販売会の空気になっていたりするんだろうなって思いながら、私は色んな人の服を選んだり、楽しんだりしています。
この“染め”も、一つ一つの色がね、ブルーといっても全部違うブルーなんですよね。
こんなに色んな色があるのはなぜですか?
岩野:僕はもともとサラリーマンだったのですが、まわりに適合していくのが正直難しくて、本当に悩んでいた時期に洋服に出会いました。
自分の手で染めてみてわかったことですが、同じ環境で同じように染めていても、同じ色ってできなかったんです。
もちろん技術の問題もあるかもしれないけど、なんかそれが、すごく人間らしいのかなって思ったし、それこそ手仕事のよさなのかなって。
自分の手で染めている意味なのかなって思うんです。
同じ色で何十でも染められるのがプロなのかもしれないですけど、何か僕は違ってしまう。そういう“揺らぎ”も大事にしたいなって。
染めていて、そこに僕はすごい自由を感じたんです。
10回染めたら10色あっていいんじゃないのかなっていう想いがすごくあって。
それが、生き方にも少し現れているのかなって思います。
別にみんなが同じような感じじゃなくてもいいんじゃないのかな、って。
色って本当に無限なので、人の個性と似てると感じます。
“染め”を使ってそれを表現できたらいいなって思います。
ちこ:(色んな色があるのは)あえてそうしている?
岩野:いや、できないんです、やっぱり。人間もそうじゃないですか。「みんなと同じにしなさい」って言っても無理ですよね。
色もそれと同じで、勝手にいろんな色が出てくる。またそれが面白いのかなって。
ちこ:「私、黒が似合わないんだよね」と言ってお店に入って来られた方が、「黒といっても色々な黒があるよ」「あなたに似合う黒ってあるんだよ」という色が見つかった瞬間、その人が、なんだか好き嫌いを一つ克服したような、まさに意識のジャンプをしたように見えます。
そういうものと出会ってほしいなって、すごく思うんです。
食べ物に関しても、「私トマト嫌いなんだよね、ずっと」なんて言う人がいたら、「いや、○○さんのトマトをこういう風に厚切りにして、オリーブオイルと塩だけで食べてみて!」と返すんです。
相手がそれを食べてくれて「うわっ!こんなの食べたことない」ってびっくりして、トマト嫌いを克服できたとか。そんなこともあります。
トマトといっても一個じゃないよね、その時々のシチュエーションもあるし、「全然違うから」「前のとは同じものじゃないよ」って言い方をする。
すると、目の前にある、色んなことへの向き合い方が変わったりするんですよね。(服も食事も)なんかすごく通じるなっていつも思います。
岩野:本当そうですね。皆んな自分のなかで色々思い込んでいる。
色も本当にそうなんですよね。
人が「これ似合うよ」って言ってくれる色と、自分が思い込んでいる、似合う色・似合わない色ってかなり違っていたりします。
だから、1回は人の話を聞いてみたり、固定観念の外側に出るというか、新しい自分に出会えるチャンスっていうか。
僕らは洋服を通してそういう自分に出会ってもらいたいと思っています。
だから人が色で悩んでいるのを見るのは、僕はすごく楽しみ。
ちこ:どれを見つけるかなあって?
岩野:そうですね本当に。
ちこ:いまは色々あって、みんな迷っちゃうみたいなね。やっぱり見てて思いますね。
でも実は、色だけじゃなくて糸の縫い方とか結い方によってまた違うんですよね。
岩野:本当にそうですね。糸の素材もそうですし、織り方だったり、それで全部
変わるので。そういうのもちょっと面白いところなのかなと感じます。
天然繊維なので、その時その時によって変わる。本当に、作物と一緒だと思うんですよね。
毎回同じクオリティっていうのも大事ですし、それも悪いわけではないんですけど、やっぱり自然だからこそ、そういう不均等な部分も面白いんじゃないのかなと思いますよ。
ちこ:そういう意味ではリップルさんがこれからどういう風になっていくのか私もワクワクしていて、いつも楽しみにしているんです。
何か「洋服を通してこういうことを伝えたい」とか、この先に向けて何か思うこととかありますか?
岩野:僕らは洋服を作っているんですけど、洋服を通じてそういう意識、自分が思い込んでいることがなくなるといいなって思います。
たとえば悩んでいる人も面白いもので、ハタから見ると「全然悩みじゃないでしょ」と思ってしまうようなことってあるじゃないですか。
でも自分は悩んでいたり、苦しんでいて。
多くの人は、自分で悩みを作っちゃってるんじゃないのかなって感じています。
別に僕は悩みを聞く立場ではないんですけど、洋服を通じてお客様と話し合いながら、お客さんに近いところで洋服を作っていけたらなっていうのはあります。
色んなところに出ていくと、なおさら、お客さんと近いところでやっていきたいなって思うんです。
というのは、そのほうがお客さんの意見も聞けるし、お客さんの悩みとか話も聞けるから。こういう活動は面白いなって思います。
僕自身も勉強になりますし。
ちこ:リップルさんは「ご家族と寄り添いたい」から服作りがスタートしてるじゃないですか。家族の形が夫婦から子どもがいる生活に変わったなかで、働き方が変わり、畑もうどんも色々やったけど、結果的に洋服に行き着いたというか。
岩野さんご家族と、御食事ゆにわ前で
ちこ:家族も大事なんだけど家族を超えて、洋服を通してまた家族を増やしているような感じがして、原点が今までずっと繋がっているんだなと感じました。
ゆにわの食事は、ある一人の、目の前の人のために作ったところからスタートしましたが、人が増えていったとしても、どんどんどんどん家族が増えていくような感じで、思いがずっと繋がるような食事作りができたら幸せだなってすごく思います。
そこじゃないですか、繋がっているのは。
岩野:そうですね。本当にゆにわさんに来ると勉強になります。毎回驚いて帰ります。笑
ちこ:お腹いっぱいになって、そして驚いて帰る?笑
今回、初めてこういう感じさせてもらったのも、また良かったですよね。
次に販売会をする時にまた是非出てください。
岩野:はい。今度は久美子と一緒に出たいと思います。
はい。またお届けしたいと思います。
今日のゲストはリップル洋品店のハルさんでした。
Infomation
リップル洋品店さんの衣類は、毎月1〜7日限定のアトリエショップまたは、ゆにわマート店舗&オンラインショップでも販売しております。
RIPPLE YōHINTEN
群馬県桐生市小曽根町4-45
Instagram
ゆにわマート
大阪府枚方市楠葉美咲3丁目12−11
ジョイフル美咲 101
営業時間:11時00分~20時00分(木曜定休日)
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御食事ゆにわ
大阪府枚方市楠葉美咲3丁目12-6
LUNCH 12:00~15:00(14:00 L.O)
DINNER 18:00~21:00(月・火・金・土・日)
HP
※展示会は不定期開催